「窓ぎわのトットちゃん」が時を超えて読み継がれる理由

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私がまだ小学生の頃、空前のベストセラーとなった、「窓ぎわのトットちゃん(黒柳徹子 著|講談社)」。

40年の歳月を経てなお、色あせないこの名作には、子育てのヒントだけでなく幸せに生きるヒントが、ぎっしりつまっています。

小学校を(机のひきだしを何度も開けたり閉めたり、窓のところでチンドン屋さんを呼びこんだりするために)1年生で退学になったトットちゃん。ママは「あの子の性格がわかっていただけて、みんなと一緒にやっていくことを教えてくださるような学校はないだろうか・・・」と、本物の電車が校舎の学校、「トモエ学園」の門をくぐります。

そこでトットちゃんの長―い話を聞き終えた後、優しく頭に手を置いて、

「じゃ、これで、君はこの学校の生徒だよ」と言った、校長先生。

そこは、「どんな子も生まれた時にはいい性質を持っている。それが大きくなる間に色々な周りの環境とか、大人たちの影響で、スポイルされてしまう。だから早く、この「いい性質」を見つけて、それを伸ばしていき、個性のある人間にしていこう」という、小林宗作校長先生の教育方針のもと、「心の教育」にとても力を入れた、学校でした。

トモエ学園の授業のやり方は、「各自自分の好きな科目から始めていい(作文を書いている子の後ろで、物理の好きな子が実験をしている、というのがあたりまえの風景)」というもの。そこから、長寿番組「徹子の部屋」でおなじみの国民的タレント黒柳徹子さんや世界的物理学者の山内泰二さん(黒柳さんは「いつもいつもアルコール・ランプやフラスコや試験管のそばにいるか、難しそうな科学や物理の本を読んでる姿しか、私には思い出せない」と本の中で語っています)をはじめ、各方面で活躍する人たちが、巣立っていったのです。

トモエ学園には障がいを持つ子も通学していました。

トットちゃんにとって忘れられない、泰明ちゃんとの出会いはとても印象的です。

その子の歩くのを、うしろから見たトットちゃんは、それまでキョロキョロしてた動作をピタリと止めて、ほおづえをつき、じーっとその子を見つめた。その子は、歩く時、足を引きずっていた。とっても、歩くとき、からだがゆれた。始めは、わざとしているのかと思ったくらいだった。

でも、やっぱり、わざとじゃなくて、そういう風になっちゃうんだ、と、しばらくみていたトットちゃんにわかった。(中略)トットちゃんは、クルリと振り向いて、その子に聞いた。

「どして、そんなふうに歩くの?」その子は、優しい声で静かに答えた。とても利口そうな声だった。「僕、小児麻痺なんだ」「しょうにまひ?」トットちゃんはそれまでそういう言葉を聞いたことがなかったから、聞き返した。その子は、少し小さい声でいった。「そう、小児麻痺。足だけじゃないよ。手だって・・・」そういうと、その子は、長い指と指がくっついて曲がったみたいになった手を出した。トットちゃんはその左手を見ながら、「なおらないの?」と心配になって聞いた。その子は、だまっていた。トットちゃんは、悪いことを聞いたのかと悲しくなった。すると、その子は、明るい声で言った。

「僕の名前は、やまもとやすあき。君は?」トットちゃんは、その子が元気な声を出したので、うれしくなって、大きな声でいった。「トットちゃんよ」こうして、山本泰明ちゃんと、トットちゃんのお友達づきあいが始まった。

私たち大人とは違う、子どもの持つ、くもりのない心のすばらしさが、ここにはいきいきと、描かれています。

もしこの現代に、「トモエ学園」(太平洋戦争末期、空襲により焼失)があったらなぁ、と、実家の本棚からこっそり取ってきた、母の手あかで黒く汚れた本を閉じました。

引用元| 「窓ぎわのトットちゃん」(黒柳徹子 著|講談社|1981年第一刷発行)

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