「新型うつ病」は、正式な医学用語では「非定型うつ病(Atypical depression)」といいます。
1994年のDSM-Ⅳ(アメリカ精神医学会の「精神障害の診断・統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorder)」第4版)において初めて、公式の診断基準として定義されました。(以下、本文では「新型うつ」と呼びます。)
従来のうつ病が、一般的には<食欲の減退・不眠・体重の激減・性欲減退>等とともに、どんな事にもやる気が起きず、気分が落ち込んだ状態がずっと続き、特に朝方や午前中の不調が著しいという特徴が挙げられるのに対し、
「新型うつ」は以下のような症状が見られます。
- 食欲の増進・過食
- 眠気を我慢する事ができない・過眠
- 体重の増加
- 性欲の増進
- 夕方頃に症状が悪化する(日内変動)
- 基本的には何事にもやる気が起きず不調が続くが、嬉しい出来事に出会うと、喜びや前向きな気持ちになる事もある(気分反応)
- 他人からの批判や拒絶・挫折を恐れるが故に、人間関係をうまく築けない(拒絶への敏感性)
一概には言えませんが、年代では、20~30歳代の比較的若い世代に多いとされ、性別では、男性よりも女性に多いとされています。
一般的な「うつ病」のイメージとは正反対な症状が多く見られ、未だ社会的な認知度が低いために、「やる気がないだけ」「わがまま」等と誤解されることも少なくなく、多くの当事者の皆様が、人知れず苦しんでおられるようです。
また、「うつ病」「双極性障害(躁うつ病)」「新型うつ(非定型うつ病)」は、相違点もありながら類似する症状も多く見られるために、医師などの専門家にも見極めが難しいとされています。
そして、薬物療法だけでは治癒が困難であり、本人の力だけではコントロールが難しい感情の変化に寄り添ったカウンセリングが、克服には不可欠であるとされています。
(※医師または医療機関に属する心理士ではない為、身体の病的症状については専門的な見解を述べることはできません。また、相談者様の現実問題に介入することはできない旨をご了承ください。)